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「MultiSync LCD2690WUXi2」は、NECディスプレイソリューションズが発売する液晶ディスプレイ「MultiSync」ブランドの中で、フラッグシップモデルがラインナップされているプロフェッショナルシリーズに属する。その特徴は、Adobe RGB比107%、NTSC比102%という高色域で、DTPや映像処理などプロ用途をターゲットとした製品である。価格はオープンプライスで、実売価格は13万円前後。

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●本体デザイン

 本体デザインは、直線的かつ装飾がほとんどない、MultiSyncシリーズでおなじみのものとなっている。今回試用したのはカラーがブラックのモデルだったが、ホワイトのモデルも用意されている。もちろん、本体カラー以外のデザインに違いはない。

 本体サイズは589.8×306×444.2~594.2mm(幅×奥行き×高さ)とかなり大きい。25.5型の大型ワイド液晶パネルを搭載していることもあり、このような大柄なボディもある意味当然だが、デスク上に設置すると、かなりのスペースを占有されてしまうことを覚悟しておく必要がある。また、重量も約12.8kgで、スタンドを含まないディスプレイ部のみでも約9.4kgとかなり重い。プロ用途をターゲットとする製品では、本体サイズや重量よりも、表示品質や使い勝手の方が優先されるため、こういった点は特に問題とはならないはずだが、個人ユーザーで購入しようと考えている場合には、設置スペースなどをあらかじめ考慮しておく必要があるだろう。

 液晶面のチルト角度は、下5度から上30度の範囲内で、高さは150mmの範囲内で調節可能。また、台座には340度のスイベル機構と、90度回転させて縦画面で利用できるピボット機構を備える。チルト角度や高さ調節、ピボットなどの操作は比較的軽い力で行なえるが、液晶画面のぐらつきがやや大きい点は気になった。

 電源ボタンや入力ソースの切り替え、OSD操作用のボタン類は、画面右下のベゼルコーナー付近に配置されている。OSD操作用として、下ベゼル部分に左右、右ベゼル部分に上下の操作用ボタンが配置されており、OSD内のメニュー移動など直感的な操作が行なえる点は嬉しい配慮だ。また、電源ボタンの横には室内の明るさを検知するセンサーが取り付けられており、室内の明るさに応じてバックライト輝度を調節する機能が実現されている。

●液晶パネル

 1,920×1,200ドット表示対応の、25.5型ワイド液晶を搭載。パネルの方式はIPS方式を採用。応答速度は16ms、中間色で8ms。視野角は、上下/左右とも178度で、画面を見る角度が多少変化しても、色合いの変化は全くと言っていいほど感じられない。輝度は320cd/平方m。パネル表面は非光沢処理が施されている。

●接続端子

 映像入力端子は、ミニD-Sub15ピン×1系統、DVI-I(HDCP対応)×1系統、DVI-D(HDCP対応)×1系統の3系統が用意される。本体にスピーカーは搭載されず、音声の入出力端子も用意されていないが、オプションで用意されているスピーカー「サウンドバー90」が取り付け可能となっているとともに、このオプションスピーカー用の電源出力端子が用意されている。

 映像入力端子は、液晶背面に下向きに取り付けられているが、ピボット機構を利用することで、設置後でもケーブルの着脱は容易に行なえる。また、スタンドのアーム後方にはケーブルを束ねる機構が用意されており、ケーブル類は正面から見ても目立たないようにすっきりとまとめられる。

●OSD

 OSDに用意されている設定項目は、さすがにプロ用途をターゲットとしているだけあって、非常に豊富だ。特にカラー調節機能は、色温度の設定、RGB 3色の割合調節はもちろんのこと、RGBCMY 6色の色合い、サイド、オフセットをそれぞれ127段階に調節可能となっており、用途に応じて最適の発色に調節できるとともに、最大4個まで設定値が記憶できる。もちろん、sRGBやAdobe RGBに準拠したモードも用意されている。

 また、明るさセンサーを利用した輝度調節機能「オートデミング機能」では、輝度の調節範囲を自由に設定できるようになっていたり、映像入力の自動切り替え機能も、他の映像信号が入力されても現在の映像を保持したままにしたり、常に後から入力された映像信号に切り替えたりというように、切り替え動作を自由に変更できるようになっているなど、細かな部分まで設定項目が用意されている点はプロ用途の製品らしい特徴だ。

●画質

 プロ用途として位置付けられている製品ということもあり、表示される映像のクオリティはさすがの一言。内部でRGB各色を12bitでガンマ補正を施すことにより、約679億6,723万色中約1,677万色表示が可能となっており、低価格液晶ではほぼ単色で表示される部分でも、微妙な色合いの変化がしっかり認識できる。また、前述の通りIPSパネルを採用していることもあり、多少見る角度を変えても色合いの変化はほとんど感じられない。

 もちろん、カラーマネージメントツールを利用したカラーキャリブレーションにも対応している。オプションで用意されているカラーマネージメントソフト「SpectraNavi-J」と、対応のカラーセンサーを利用することで、高度なカラーマッチングも手軽に行なえる。

 さらに、これだけのサイズにも関わらず、LCD2690WUXi2では輝度ムラや色ムラが全く感じられない。これは、「UNIFORMITY」と呼ばれる輝度ムラ/色ムラ改善機能が搭載されていることによるもので、これだけのサイズの液晶で画面全体が均一の品質で表示される点は、特筆すべき部分だ。

 応答速度は黒白黒が16ms、中間色が8msと、特に高速というわけではなく、動画や高速な画面描写のゲーム画像などを表示させると、わずかではあるが残像を感じる。とはいえ、それもほぼ気にならないレベルのもので、特に問題になることはないだろう。

 約679億6,723万色中約1,677万色の表示に対応し、Adobe RGB比107%、NTSC比102%を実現するLCD2690WUXi2は、映像の表示品質に関して不満を感じる部分がほとんどないと言っていい。また、細かな部分まで調節が可能なカラーマネージメント機能、ピボット機構を備えた台座など、周辺仕様も充実しており、プロ用途の液晶ディスプレイとして圧倒的な魅力を備える製品と言える。

 個人用途で利用する製品としては、大柄なボディやHDMI端子を備えない点などが不利となるかもしれないが、表示品質を最優先とするなら、選択肢として考慮すべき製品となる。発売から1年近く経過していることもあって、実売価格が13万円前後とかなり安価になってきている点も合わせ、プロ用途だけでなく、デジタル一眼レフカメラを利用した写真撮影や、デジタルグラフィックスなどを趣味としている個人にも広くおすすめしたい。


2009.11.18 NEC、白色LED

NECディスプレイソリューションズは、白色LEDを採用した22型ワイド液晶ディスプレイ「MultiSync LCD-EA222WMe」(本体色:ホワイト)「同-BK」(同ブラック)を12月9日より発売する。価格はオープンプライス。

 バックライトに水銀を含まない白色LEDを搭載し、筐体に再生プラスチックを採用する。また、低消費電力設計やパワーセーブ機能、2段階のECOモード、CO2排出量を算出して表示するカーボンメータ機能、Energy Star 5.0準拠設計など、同社が取り組んでいる低環境負荷の特徴を踏襲する。

 主な仕様は、解像度が1,680×1,050ドット(WSXGA+)、表示色数が約1,677万色、応答速度が5ms、輝度が250cd/平方m(ECO MODE1は200cd/平方m、同2は100cd/平方m)、コントラスト比が1,000:1、視野角が上下160度/左右170度。

 インターフェイスはミニD-Sub15ピン、DVI-D(HDCP対応)、DisplayPort(HDPC対応)の3系統。また、4ポートのUSB 2.0 Hub、1W+1Wのステレオスピーカー、ステレオミニジャックの音声入出力を備える。

 本体サイズは507.8×220×382~492mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約7kg。

 このほか、企業や教育機関向けの液晶ディスプレイとして、1,280×1,024ドット(SXGA)表示対応17型の「LCD172V」、「LCD175MP」シリーズと、19型の「LCD192V」シリーズ、1,440×900ドット(WXGA+)表示対応19型ワイドの「LCD-AS191WM」シリーズ、WSXGA+表示対応22型ワイドの「LCD-AS221WM」シリーズも11月11日より順次発売する。価格はすべてオープンプライス。

ASUSTeK Computerは、フォトスタンドスタイルの23型液晶ディスプレイ「MS236H」を11月14日に発売する。価格は28,800円。

 フォトスタンド風のデザインを採用した液晶ディスプレイ。本体最厚部で16.5mmとスタイリッシュな筐体に、角度を調整しやすいというリングスタンドを採用した。ほか、画像処理チップ「Splendid」やコントラスト拡張技術「ASCR」などを搭載する。

 主な仕様は、解像度が1,920×1,080ドット、輝度が250cd/平方m、コントラスト比が50,000:1(ASCR OFF時は1,000:1)、応答速度が2ms(中間色)、最大表示色数が約1,677万色、視野角が上下160度/左右170度。

 インターフェイスはミニD-Sub15ピン、HDMI。本体サイズは566.2×150.9×406.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約3.9kg。スタンドは20度までのチルトに対応する。電源はACアダプタ。

三菱電機株式会社は、超解像技術を搭載した24.1型ワイド液晶ディスプレイ「MDT243WGII」を10月28日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は99,800円前後の見込み。

 MDT243WGの後継機。画像処理LSI「ギガクリア・エンジン」を搭載し、新たに、ぼやけた映像を鮮明にする超解像技術を搭載。従来のシャープネス回路では実現できなかったフォーカス感や、木の葉や壁、顔の精細感を鮮明にするという。超解像技術は0%(OFF)~100%の10段階から選択できる。また、小画面機能(PinP)の小画面のみへの適用も可能で、親画面のPCはこれまで通りに表示しながら、小画面で動画などの解像感を高められる。ギガクリア・エンジンは、超解像技術に加えて、コントラスト補正やノイズ低減などにも対応し、総合的に画質向上できるという。

 そのほかの機能は従来機種を継承し、バックライトスキャニング/黒挿入で動画の残像を低減する「MP ENGINE II」などを搭載。インターフェイスも変わらず、DVI-D(HDCP)、ミニD-Sub15ピン、HDMI×2、D5端子、Sビデオ/コンポジットの各入力、5W+5Wのステレオスピーカーと、S/PDIF出力(HDMIステレオ音声)、ヘッドフォン出力などを備える。専用リモコンが付属する。

 パネルはノングレアのVA方式。主な仕様は、解像度1,920×1,200ドット(WUXGA)、表示色数約1,677万色(RGB各色10bit中)、応答速度10ms(中間色6ms)、コントラスト比1,000:1(CRO動作時2,000:1)、輝度500cd/平方m、視野角が上下/左右ともに178度。

 本体色はキャストメタルブラック。本体サイズは558.5×270×406.3mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約11.2kg。

ニコンがデジタル一眼レフカメラのニューモデル「D3S」を発表した。35mmフルサイズの撮像素子を持つプロ向けの製品で、2008年末に発売された「D3」の後継として位置づけられている。これを機に、フルサイズとAPS-Cセンサーについて考えてみた。

●被写界深度と画角

 D3Sで特筆すべきは高感度側の上限をISO12800に引き上げたことだ。拡張することで、さらに3段分、すなわちISO102400相当まで対応できる。実写画像を見ていないので何ともいえないが、新開発のセンサーを使っているとのことなので、それなりに妥当な絵をたたき出すのだろう。

 それにしても、この値は想像を絶するものだ。数字ではピンとこないが、ISO400で1秒のスローシャッターが、ISO102400なら1/250秒になるのだから、その差は大きい。ニコンでは報道写真や動物写真の撮影フィールドを拡げるものとしているようだが、実際、その通りだと思う。環境光が暗くても、高速なシャッター速度を適用できることで、今まで撮れなかったものが撮れるようになるだろうからだ。

 ニコンは、今回のD3Sの他に、D3X、D700というフルサイズ機の既存ラインアップを持っている。ニコンでは、これらをFXフォーマット機と呼んでいる。また、それとは別に、APS-Cフォーマットのラインアップがあり、D300を筆頭にエントリー機までが揃っている。こちらは、FXフォーマットに対して、DXフォーマットと呼ばれている。

 DXフォーマットでは、FXフォーマットに対して同じ焦点距離のレンズをつけたときに、その画角が1.5倍相当になる。たとえば、DXカメラに135mmのレンズをつけたときとFXカメラに200mmのレンズをつけたときでは、ほぼ同じ画角が得られるわけだ。

 ただし、同じ絞り値で撮影した場合、画角は同じでも、得られる被写界深度は異なる。絞りが同じなら、焦点距離が長い方が被写界深度は浅くなる。写真表現にこだわるなら、そこに注意を払う必要がある。

 被写界深度は、ピントを合わせた位置に対して、手前と奥の双方向に、どのくらいの距離分、ピントが合っているように見えるかを、深度という物差しで表したものだ。被写界深度はレンズの焦点距離が短ければ短いほど深くなり、手前方向より、奥方向に長い。また、被写界深度の深さは、レンズの焦点距離と絞り値で決まり、光の回折を無視できるなら、絞り値を大きく絞り込めば絞り込むほど被写界深度の深い写真が撮れる。

 この被写界深度をうまく利用した手法として、パンフォーカスという表現がある。風景写真などでよく使われる手法だが、画面内の近距離から遠距離まですべてにピントが合っているような表現ができる。オートフォーカスの機構を持たないカメラの場合、3m付近にピントを合わせておけば、よほど大伸ばしにでもしない限り、ピンボケ写真にはならないため、スナップモードとして、パンフォーカスを設定できるようなカメラもあるし、レンズ付きフィルムは、その偉大な応用例だ。

 逆に、ポートレート写真などでは、絞りをめいっぱい開き、瞳にピントを合わせ、背景をぼかすような表現が多用される。これもまた、被写界深度のコントロール例だ。

●パンフォーカス大量生産の理由

 FXに対してDXの画角が1.5倍相当になると書いたが、撮像素子が小さくなればなるほど、同じ画角を得るための焦点距離は短くなる。たとえば、最近購入したパナソニックの「LUMIX DMC-ZX1」は、望遠側の焦点距離が200mm相当だが、これは、35mm換算した場合の話で、実際のレンズの焦点距離は36mmだ。36mmレンズはFXフォーマットなら広角側に位置づけられそうな焦点距離だが、コンパクトカメラの撮像素子が極端に小さな1/2.33型なので、この焦点距離で望遠域である200mm相当の画角が得られるというわけだ。

 そして、こうしたカメラで写真を撮ると、撮影者の意図よりも、ずっと多くのパンフォーカス写真が撮影される結果になる。メインの被写体にできるだけ近づき、背景をできるだけ遠ざけるといった工夫をしなければ、なかなかうまいボケが得られない。

 したがって、ボケを生かしたいならFX、パンフォーカスならDXというのは理にかなっている。同じ画角を得るためのレンズの焦点距離が長い方がボケを得やすいからだし、同じ画角を得るためのレンズの焦点距離が短い方がパンフォーカスの効果を得やすいからだ。だからこそ、人物ポートレートにFX、風景写真にDXといわれている。ただ、風景写真の場合、画素あたりの面積の広いFXセンサーでは、ダイナミックレンジが広いので、自然界の光のレンジをできるだけ広くカバーするためにも、FXの方が有利だと個人的には思っている。光を巧妙にコントロールできるスタジオ撮影などでは、そのダイナミックレンジを人工光のあてかたで調節できるが、雄大な景色を前にしてはそれも難しい。だから、ニコンは、FXフォーマットでも、高画素数のD3Xと、標準画素数のD3をラインアップしているのだろう。

●高感度サポートと被写界深度の相関関係

 この被写界深度、カメラのISO感度の常用域が高くなることで、DXとFXでの被写界深度の違いが吸収されていくのではないかということが気になっている。暗いところで動いている被写体を撮影する場合、これまでのセオリーでは、絞りを開いてきたわけだが、開ける値にも限界がある。めいっぱい絞りを開いても光が足りない場合は、シャッター速度を遅くしていく。相手が静止していればいいが、動いている場合は、シャッター速度の遅さによる被写体ぶれが発生してしまう。

 だが、高感度をサポートするカメラなら、さらに、感度をどんどん上げていける。感度を上げても画質がそう乱れないのなら、無理に遅いシャッター速度を使って、手ぶれしてしまうよりも、ぶれずにすむシャッター速度を確保したいと考えるのが普通だ。そして、その方が被写体ぶれの心配もない。

 こうして、高い感度に設定することで、暗いところでの撮影でも、ある程度絞った写真を撮るようになれば、FX、DXの違いが、より些細なものになっていく。プログラムオートで撮影する場合には、メーカー側で意図的にプログラムのカーブをコントロールすることもできるだろう。その結果、FXでもDXでも、さらには、コンパクトデジカメのような極小センサーでも、撮れる写真は似たようなものになっていくのではないか。

 もちろん、絞りとシャッター速度と焦点距離、そして感度を自在に操るプロフェッショナルではそうしたことはないだろう。でも、圧倒的大多数のアマチュアは、被写界深度の深さで救われることが多い。素人目から見たときに、レンズ付きフィルムで撮りためた写真よりも、コンパクトデジカメで撮影した写真の方が美しく感じるのは、被写界深度に救われ、ピンボケの可能性が低いからだと思う。デジタルだからキレイというのは、そういう意味ではあながちウソではないということだ。そして、もしかしたら、これから写真を学び始めるような新しい世代の写真家は、従来とは、まったく異なる発想で写真を撮り始める可能性もある。

 フィルムの時代には、中判と35mmがうまく棲み分けてきた。圧倒的多数は35mmを使っても、しっかりと中判は生き残り、同じフィルムが複数のフォーマットで使われてきた。デジタルの時代となり、FXとDXで撮れる写真が急接近している今、人々は、この2つのフォーマットをどのように使い分けていくのだろうか。カメラの高感度サポートの限界挑戦には、今まで撮れなかった被写体が撮れるということのほかに、もう1つ写真表現に変化の兆しを与える重要な方向性を示唆しているように思えてならない。