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2009.09.07
中判デジタルバック 4,000万画素

デジタルバックとは、中判カメラのフィルムバックの代わりに取り付けることのできるデジタルモジュールで、装着することで中判カメラのシステムをデジタルカメラとして使用するためのものだ。現在は、フェーズワン(Phase One)、リーフ(Leaf)、ハッセルブラッド(Hasselblad)、ジナー(Sinar)、マミヤ(Mamiya)などのメーカーからデジタルバックが発売されており、画素数やセンサーサイズの大きさも様々にある。
35mm判やAPS-Cサイズ相当のセンサーを搭載する一般的なデジタル一眼レフカメラに対し、その魅力はなんといってもセンサーサイズの大きさだろう。35mm判フルフレームセンサーの36×24mmに対し、フェーズワンのフラッグシップモデルP65+では53.9×40.4mm、P40+で43.9×32.9mmと格段に大きい。大きなセンサーから得られる浅い被写界深度、圧倒的な解像感、16bitの豊かな階調と広いダイナミックレンジは、一般的なデジタルカメラとは一線を画すクオリティといえる。特に階調表現にはすばらしいものがあり、暗部からハイライトまでディテールを失うことなく表現される。
ただし、一般的なデジタル一眼レフカメラに敵わない部分もある。連写や高感度ノイズだ。例えばニコンD3Xの連写速度が5コマ/秒なのに対し、P40+は1.2コマ/秒、または1.8コマ/秒(Sensor+時、後述)となっている。連写速度が遅い理由のひとつは、センサーにCCDを採用している上、大きいためキャプチャーに時間が掛かるためだ。とはいえ、銀塩中判カメラ自体も35mm判カメラほど連写性能は高くないので、業務での撮影で気になることはほとんどない。
かつては機動力も敵わない分野だった。数年前までのデジタルバックは、液晶モニター、記録メディアスロット、バッテリーなどはなく、撮影するにはパソコンとデジタルバックをFirewireケーブルで接続する必要があったのだ。基本的にスタジオでの使用を想定していたためで、風景撮影などには不向きといえた。しかし最近のデジタルバックのトレンドは、スタンドアローンでオペレートできるタイプとなっている。フェーズワンでもPシリーズやP+シリーズは、CFスロットやバッテリーを搭載。35mmベースのデジタルカメラとほとんど変わりない機動力と操作性が備わっている。

フェーズワン製のデジタルバックが対応するカメラは、ハッセルブラッドHシリーズ、ハッセルブラッドVシリーズ(555ELD、503CW、501CM、903SWCなど)、マミヤRZ67 Pro II、マミヤ645、フェーズワン645、コンタックス645AFなど。また、アダプターを使用すれば、デジタルバックをラージフォーマットのカメラに取り付けることもできる。
今回は、5月に発売されたばかりの最新モデル、フェーズワンP40+を試用することができたので、そのインプレッションを書いていきたいと思う。
■ 高感度や連写に強くなる「Sensor+」
P40+をハッセルブラッド503CWに装着した状態。後ろについている四角いボックスがデジタルカメラバックのP40+だ
まず、P40+のスペックを簡単に見てみよう。P40+は、ラインナップで上から2番目の画素数を誇るモデル。センサーには、43.9×32.9mmの4,000万画素CCDを採用。このクラスのセンサーサイズでは、世界最高の画素数を実現している。また、今までの、P+シリーズ(P21+、P25+、P30+、P45+)などは、コダック社製のセンサーを採用していたが、P40+では、ダルサセミコンダクター社製を採用。ピクセルサイズは、6×6μmとなっている。また、ISO感度は、ISO50~3200(Sensor+モードを含む)、露光時間は1/10,000秒~1分、バッファには1.3GBのRAMを搭載している。液晶モニターは23万ドットの2.2型を採用。
特徴的な機能としては、「Sensor+」モードの存在が挙げられる。これは、センサーのフルフレームを使って1,000万画素のイメージを生成するモード。クロップなどと違いレンズの画角は変わらない。
Sensor+にはいくつかの利点がある。その一つは高感度に強い点。通常撮影時に設定できるISO感度はISO50~800だが、Sensor+使用時にはISO200~3200となる。スタジオ使用がメインのためか、今までのデジタルバックは、お世辞にも高感度に強いといえなかった。しかし、Sensor+を使用すると、4画素を1画素として扱うため、ノイズはSensor+を使用しない時にくらべ1/4となる。Sensor+を使って撮影した時のISO800と、Sensor+を使用せずに撮影したISO200のノイズはほぼ同じになる。高感度の撮影が可能になることで、35mm判のようにF1.4などの明るいレンズの無い中判システムでも、手持ちでの撮影や薄暗いロケーションでの撮影が楽に行えるようになったのは大きい。
また、画素数が1/4になることで、RAWデータ量も1/4になりファイルの扱いが楽になる。データが軽くなるとはいえ、イメージの品質は全く失われない。その上、連写速度が上がるのもSensor+の特徴だ。通常P40+の連写速度は、1.2コマ/秒なのだが、Sensor+使用時には1.8コマ/秒に上がる。1分間で最大108枚の撮影が可能ということになる。なお、フェーズワンのデジタルバックは書き込み速度が一定のため、CFがフルになるまで書き込み続けることができる。
今回テストするにあたり、色々なシチュエーションで P40+を使用してみた。カメラボディはハッセルブラッド503CW。そこにP40+Vマウントを使ってP40+を装着した。


まず、操作感は今までのPシリーズとまったく変わらない。すべての操作を「画像表示」、「メニュー」、「ISO」、「WB」の4ボタンのみで操作できる。メニューもとてもシンプルで、撮影に必要な操作は、ISO感度、WB、ファイル形式の設定くらいで済んでしまう。とりたてて難しい操作や設定はなく、フィルム感覚で撮影できるのが特徴的だ。
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