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2009.09.27
リコーCX2

リコーのパーソナル向けデジタルカメラは、ビジネスとスタンダードの2種類に大きくクラス分けされている。今回レポートする「CX2」(9月11日発売)は、ビジネスの最上位に位置する新製品で、既発売の「CX1」(2009年3月発売)の後継機だ。最大の変更点は、CX1の28mm~200mm相当に代わって28~300mm(35mm判換算)に相当する高倍率ズームを搭載したこと。それにも関わらず、従来と変わらないコンパクトさをキープ。スイッチをオフにすると鏡筒が完全に収納されるスマートなデザインも受け継がれている。
また、厚みを抑えたグリップとシャープなエッジを基調としたボディ上面のデザインも従来のまま。よく見るとグリップの貼り革の模様が違うだけで、全体から受ける印象はほとんどCX1と変わらない。新製品らしさがあまり感じられないというデメリットがある反面、オーソドックスで飽きが来ないデザインと言うこともできる。
グリップには新たに滑り止めが付いた 液晶モニターは約92万ドットの3型
上面 ブラックのほか、シルバーやツートンカラーも用意する
■ ディストーションは画像処理で補正
左はフィルムカメラ時代に高倍率ズームレンズとして一世を風靡したタムロン28~300mmズーム。CX2はコンパクトなボディに、このレンズと同じ画角のズームレンズを内蔵している

すでに説明したように、CX2の最大の特徴は28~300mmに相当するズームレンズを搭載したことだろう。ズーム比は10.7倍。ふだん使いには十分すぎるほどの焦点距離だ。CX1に比べるとレンズ鏡筒を支えるボディ側部材の直径が大きくなると同時に、ボディ厚が1.5mm、重量が5g増えているが、大きくなったという印象はまったく受けない。
試しに、フィルムカメラ時代に一世を風靡したタムロンの28~300mmズームを引っ張り出して並べてみたが、CX2のコンパクトさには、ただ目を見張るばかりだ。また、高倍率ズームに必ずつきまとうのが手ブレの問題だ。特にボディサイズの小さなコンパクトデジタルカメラは、ホールディングがしにくいので望遠撮影時に手ブレの危険性がさらに高まる。しかしCX2は、イメージセンサーシフト方式の手ブレ補正機構の採用でこの問題を解決。なおデジタルズーム使用時は、あまりにも焦点距離が長くなりすぎる(最高で1,620mm相当)ので、三脚を使用した方が良いだろう。
このほか、高倍率ズームではディストーションも問題になりがちだ。特に広角側はディストーションが目立ちやすく、液晶モニターに写ったライブビュー画像を見ると明らかにディストーションが認められる。だが撮影した画像を見ると、ほとんど気にならないレベルまで補正されている。つまり画像処理の段階でディストーションを補正しているのだ。カタログには記載されていないが、広角撮影時の歪曲収差補正をないがしろにしないリコーの姿勢には好感が持てる。
■ 手持ちでも使えるダイナミックレンジ拡大機能

ダイナミックレンジダブルショットには「AUTO」を追加
有効画素数は929万。撮像素子や画像処理エンジンはCX1と同じだが、多くの機能に改良が加えられ性能がアップした。たとえば、露出を変えて撮影した2枚のカットを合成してダイナミックレンジの広い画像を得る「ダイナミックレンジダブルショット」モードにAUTOを追加。より簡単な操作で利用できるにようになった。このモードはHDR(ハイダイナミックレンジ)イメージと基本原理は同じだが、CX2は高速で連写するので、手ブレにさえ気を付ければ手持ち撮影も可能。わざわざ三脚を用意をする必要がないので気軽に利用でき、とても便利だ。
このほか、使ってみて面白いと感じたのが、シーンモードに追加された「ミニチュアライズ」だ。このモードは大判カメラで使われるティルトというアオリ効果を画像処理によって再現したもので、実際の風景を撮影しても、まるでミニチュアの模型を撮影したように見える。リコー独自の機能ではないが、シャープに見えるエリアの幅や位置が設定できるほか、タテ/ヨコどちらの画面にも対応できるなど、コンパクトデジカメとは思えないほどの高機能だ。
また撮影時に小さなモニターで見たときは、それほどでもないが、PCのディスプレイで表示させると、その効果がはっきりと分かる。このほか、コントラストの高いモノクロ撮影がきる「ハイコントラスト白黒」、顔認識機能を備えた「ポートレート」。ストロボ、AF補助光、操作音をまとめてオフにする「マナー」も追加された。
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